猿猴捉月

映画中心に雑記色々。

2017年映画ベスト10

 趣味は数多いほうだけど、映画が一番好きだ。というわけで、毎年結構映画館で映画をたくさん観ます。とはいっても、社会人になって東京に出てきて、経済的にも余裕が出てきたここ2,3年のことだけど。元々、その時々どんなことを感じたのかを残しておきたくて始めたブログ(なんかブログって言葉を口にするの小っ恥ずかしいのだけど)なので、今回は昨年の映画の感想をまとめておこうと思う。全部は大変なので、とりあえずベスト10を振り返る。

 

 

第10位 『ベイビー・ドライバー


『ベイビー・ドライバー』2018年1月24日Blu-ray &DVD & UHD発売/同日Blu-ray&DVDレンタル開始

<あらすじ>
銀行強盗の天才ドライバーの少年が恋に落ちた女の子と逃避行する。

<感想>

ホット・ファズ』『ショーン・オブ・ザ・デッド』いつも映画愛好家たちの映画愛を引き上げてくれるエドガー・ライト。本作も、冒頭からグイグイ持って行かれた。最初のカーチェイスからタイトルバックが流れる珈琲買い出しシーンまで、音楽と映像のバランス感にニヤニヤが止まらなくなった。後半部に向けてややダレる感じあったけど、ベイビーとデボラがラブソングの歌詞に自分たちの名前をなぞらえるシーンとか大好きだったので、音楽の作劇以外の要素もとっても楽しめた。ケヴィン・スペイシーも良いキャラだったのに、残念だね。

 

 

第9位 沈黙 サイレンス


映画『沈黙-サイレンス-』予告

<あらすじ>

キリシタン弾圧下の日本における、信仰に殉ずる者たちの選択。

<感想>

マーティン・スコセッシが昔からずっとやりたかったらしい、遠藤周作原作の映画化。上映時間2時間40分とかで、内容もポルトガルから来たキリスト宣教師とキリシタンたちがバンバン弾圧されてドンドン殺されたりしていくので、かなりヘビーな一作。けど、見ごたえが素晴らしかった。環境音だけのタイトルバックとか昨年ベスト級!印象的だったのは、弾圧する側のお役人たちが「別にキリスト教とかどうでもいんだけど、こっちも仕事だからさぁ。殺したりしたくもないし、大人しくこの絵を踏んで、無難に終わらせようやぁ?」みたいなお役所仕事的テンポで棄教を迫るところ。命がけで信仰を貫く人々と対比すると、淡白で、拍子抜けするほどだ。けど、神の存在の是非なんて、結局そんなものなのかもしれない。窪塚洋介浅野忠信イッセー尾形など日本人キャストたちも素晴らしかった。

 

 

第8位 新感染 ファイナルエクスプレス


『新感染 ファイナル・エクスプレス』予告編/シネマトクラス

<あらすじ>

新幹線の中でゾンビパニック。

<感想>

韓国のエンタメのレベルの高さは今更語るに及ばないが、これはもうため息が出るほどの完成度。新幹線の中でゾンビパンデミックとかすぐ全滅だろう!みたいな設定だが、上手にシチュエーションを切り替えていくから全く飽きさせない。伊坂幸太郎の傑作『マリアビートル』(東北新幹線で殺し屋たちがサバイバルする小説)を彷彿とさせた。ゾンビの造形やモーションも素晴らしいし、勿論、ゾンビ映画で最も肝心な"人間ドラマ"の部分も一級品だ。新宿ピカデリーで観たのだけど、ラストでみんなシクシク泣いてましたね。こんなに泣けるゾンビ映画無いですよ!(全然、ネタで言ってない。本当に感動するのだ。)

 

 

第7位 勝手にふるえてろ


松岡茉優が歌う!泣く!叫ぶ!映画『勝手にふるえてろ』予告映像

<あらすじ>

こじらせ女子が暴走する。

<感想>

年の瀬、年間映画ベスト10を考えて始めていた頃、邦画が全くランクインしていなかった。そんな中、12月23日にこの映画が公開され、そしてベスト10に殴り込んで来た。松岡茉優がついに映画に単独主演した、それもラブコメディなのだから、もうたまらないわけだ。楽しすぎて2日連続で2回も観に行ったのだけど、いずれの回もドッカンドッカンウケていた。コメディは満杯の劇場で観るに限るね。基本的に主人公のぶっ飛んだ言動にゲラゲラ笑ってられるんだけど、時々胸をえぐるようなシーンもあるから油断できない。そして、ある種ホラーのような(『ファイトクラブ』かよ!)転換を見せたかと思えば、最後は綺麗にラブコメらしいポップな着地を見せる。タマフルで聴いたのだけど、あえてナレーションを入れないで、街の人々とヨシカを会話させるという演出も、上手いなぁという感じ。あと、相手役の黒猫チェルシー渡辺大知も良かった!

 

 

第6位 ラ・ラ・ランド


「ラ・ラ・ランド」本予告

<あらすじ>

夢を追いかける男女の話。

<感想>

2017年一番話題になった映画なのは間違いないよね。監督デイミアン・チャゼルの前作『セッション』同様、めっちゃハマる人と全然ハマらない人の差が激しい映画。かくいう自分も初見では「あれ・・なんか違う」って感じでした。多分ミュージカル映画として期待して行ったからかと。そういう人は自分以外にも多いと思う。けど、2回目は素直に感動することができた。やっぱり最後のシークエンスはすごい。人生に「もしも」は無いから、今がかけがえのないものなんだよって、肯定するようなラストの切れ味。あ、メイキングで観たのだけど、冒頭のミュージカルシーンは車めっちゃ熱くて大変だったって話で笑った。あんなに楽しそうなのに笑。

 

 

第5位 ゲット・アウト


『ゲット・アウト』予告編/シネマトクラス

 <あらすじ>

黒人が白人の彼女の実家に来たら、何かヤバい家だった。

<感想>

5位に置いておいてなんだけど、今年一番面白かったのはコレなんじゃないかという気もする。コメディとホラーは紙一重なんて、よく言われるが、本作のジャンルレス感は、そんな次元ではない。ジャンルなんかどうでもいい、と言わんばかり、無類の面白さ、映画を観る快感をもたらしてくれる。人種差別という要素を、コメディにもホラーにも同時に昇華する手腕が素晴らしい。100分くらいの尺も言うことなし。もう観てくれー!な、一本。アカデミー賞をどこまで荒らしてくれるのか楽しみ。

 

 

第4位 哭声/コクソン

www.youtube.com<あらすじ>

韓国の村で怪死が連続してヤバイ。

<感想>

韓国映画ってやっぱりすげぇ!ってこの映画で思い知らされた。何が起こっているのか全然わからないまま、頭の中がグラグラしながら、約3時間。パンフレット読んでもよわからないことだらけ、けどめちゃくちゃ面白かった。これが映画的な興奮あるいは快楽じゃないか。てか、こんなメチャクチャな作品が大ヒットする韓国!日本じゃひっそりと公開するだけなのに。土壌の違いに愕然とする。

 

 

第3位 ガーティアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス


「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」MovieNEX 予告編

<あらすじ>

またしても銀河を救う。

<感想>

今年一番期待していた作品。2014年の年間ベスト映画にするくらい大好きだった『ガーディアン・オブ・ギャラクシー』の続編であり、MCUの一本。前作の素晴らしかったポイントの一つに、タイトルバックがある。「Come And Get Your Love」にのせてスター・ロードがステップを踏みながら、どでかいタイトルロゴが出る、アレだ。(当時、楽しくて泣いた。)今作もタイトルバックについては、ハードルが上がっていたのだけど、全然余裕で飛び越えてきた、ベイビー・グルートのショータイム!楽しい!などなど、期待を裏切らない出来であった。結局映画館で4回観た。初回は公開日の0時から観たのも思い出深い。(前日21時からドリパスで前作を上映しており、そのまま続編を観たのだ。至福。次の日も仕事で辛かったけど。)ぶっちゃけ、作品の完成度は前作には全然及ばないと思うのだけど、もう愛してるから3位にしました。

 

 

第2位 ドリーム


映画『ドリーム』予告A

<あらすじ>

NASAの女性が夢を追う。

<感想>

なんて丁寧に作られた映画なんだ、と感激した。演技、脚本、音楽、演出、すべてが一級品。人種差別や女性蔑視といったテーマを、変に説教臭くせず、爽やかなコメディに仕立てていて、観ていて気持ちよかった。「差別はダメよ」みたいなことが本質でないのが良い。夢を追いかける情熱の物語なのだ。夢を追う彼女たちにとって、差別とか非効率で、とるにたらないくだらない、ものでしかない。そんな痛快なテイストが、本作の魅力だと思う。

 

 

第1位 パターソン


永瀬正敏が28年ぶり出演!ジム・ジャームッシュ監督の新作『パターソン』予告編

<あらすじ>

パターソンに住む、パターソンさんの一週間。

<感想>

鑑賞後もそんなにヤられた感じなかったし、ぶっちゃけなんで一位にしたのかよくわからないのだけど、こう、これから何度でも見返したくなる映画。いや、見返すんだろうなぁ、間違いなく。ありふれた日常、同じような毎日、でも同じ日なんてない、毎日が素晴らしい、そんな優しいテーマの映画。9位の『沈黙』、そして選外にしたけど『スターウォーズ 最後のジェダイ』といい、今年は本当にアダム・ドライバーの年だったなぁと思う。めちゃくちゃ好きだ。ラストの永瀬正敏登場シーンがたまらない余韻を残します。Blu-ray絶対買います。

 

 

以上の10本でした。ちなみに、劇場での鑑賞は78本。その前の年は103本観ていたから、減った。今年は邦画があんまり強くなかったなぁ、という印象。『散歩する侵略者』『南瓜とマヨネーズ』『彼女がその名を知らない鳥たち』『あゝ、荒野』とかとっても良かったけどね!あと、『ジョンウィック チャプター2』のジャパンプレミアで、キアヌ・リーブスに会えたのも感激しました。めちゃくちゃ近くて。映画ベスト10に入ってねーぞ!って思われるかもしれないけど、それとこれとは別。前作に続いて、ちゃんとスチールブック買ったし、愛はあるのだ。あと、『スターウォーズ 最後のジェダイ』は肯定派です。カイロ・レンが良すぎたから。脚本の粗はあるけど、興奮したんだから仕方ない。ベスト10に入れてないけど・・というかベスト10などどうでもいい。2017年も多くの映画に心が動いたことが幸せだ、10本に収まらないくらい。『はじまりへの旅』も泣いたし、『モアナと伝説の海』もムチャクチャ良いのに日本の売り方が雑すぎてモヤモヤした。『イップマン 継承』『トリプルX 再起動』と、ドニー・イェンラッシュに燃えた。なんて、書ききれないけど。

 

2018年も楽しい映画体験に期待。既に『キングスマン ゴールデンサークル』『パディントン2』を観て、最高の滑り出しをしている。