猿猴捉月

映画中心に雑記色々。

映画のこと(2018年3月)

もうだいぶ更新してなかったけど、通勤途中のルーティンをブログへのアウトプットとするために再開した。
スマホからの投稿なので、操作性最悪である。というわけで、フォーマットも適当だし、動画へのリンクもなし。

3月は5本。とても濃密な作品ばかり。


グレイテスト・ショーマン
ヒュー・ジャックマン主演のミュージカル映画。歌劇のシーンはどれも拍手喝采の出来。楽しい!ドルビーアトモスで鑑賞して良かった。
上映時間短め(大事!)でテンポの良い構成、素晴しい歌劇のラッシュで、一気に魅せていく。冒頭の表題曲のイントロから始まるサーカスのシークエンス、そして、ヒューとザック・エフロンが魅せるバーでのデュオは誰もが胸躍るはず。

ただ、ストーリーラインにはいささかノレなかった。自分が先行して持っていたイメージも良くなかったのだけど、本作の主人公は、音楽や芸術にひたむきにアツい男ではない。どちからというと、ショービジネスで「成り上がり」を為そうとする野心的な男だ。もちろん、主人公にゲスい点が見受けられるからノレなかったのではない。(それだと映画的リテラシーなさすぎ。)
主人公に粗があって、失敗なり反省があって、過ちを認め、最終的に成功を勝ち取る。そのプロセスはいたって王道なのだけど、多分この映画のテンポの良さ、ひいては、歌劇パートの秀逸さもあってか、ドラマパートが薄く感じる。どうにもアンバランス。そんな風に感じる人は多いのでは。歌劇パートに感情移入しづらいというか。

そんなこんなで、完全にノリきれませんでした。ただ、 Blu-ray買って見返していたら、普通に自然にノレる、好きな映画になりました。特典のメイキングを見て、前述したドラマパートへの不満を補完できたことも大きいと思う。だって現実がドラマチックすぎたから。主演のヒュー含めて、準備段階から、長い年月をかけて、たくさんの努力や情熱が注ぎ込まれる過程が、とても胸を打つものだった。また観たい。

あと、『ラ・ラ・ランド』への言及は不可欠だろう。そもそも宣伝段階から、前年の同ヒット作との関連性を殊更に強調していた。まぁ、当然だけど。みんな、どうしても並べて語りたがるもの。
個人的には『ラ・ラ・ランド』のほうが好きです。ただ、比べるものでもないかなと。理由は単純で『グレイテスト・ショーマン』はミュージカル映画で、『ラ・ラ・ランド』はデイミアン・チャゼル映画だと思うから。というか、チャゼルの映画って前作の『セッション』もそうだけど、音楽や芸術に対する愛情をあまり感じない。だから、あんまりミュージカル映画対決みたいな捉え方はできない。

そもそも、どっちが面白いかより、両作ともヒットしていることを喜ぶべき。結局、興行収入の面では、『グレイテスト・ショーマン』が上回ったみたいだけど、どう考えても『ラ・ラ・ランド』のムーブメントが影響してないわけないんだし。なので、この流れでまた次につながったら素敵です。(奇しくも、これを書いてる今週末はミュージカル映画の超王道『マンマ・ミーア』の続編が公開される。ちゃんとつながってる。)

あと、余談だけど、ザック・エフロンはいつも酔っ払って騒いだり、すぐ脱いだりするパリピな役のイメージが強くて、今回はしっとり歌って踊れる格好いい役で驚きました。


残り4作は疲れたので手抜き。(どれも超面白かったのにごめんなさい。)


ブラックパンサー
ご存じMCU。ヒーロー大集合バトル『キャプテンアメリカ シビルウォー』だとわりと地味だったブラックパンサーの単独映画。
戦闘シーンとかはあんまりワクワクしなかったけど、ヒーロー映画として、最先端にアップデートされた一作なのは間違いない。(ブラックカルチャーの集大成的な意味合いも大きい。)
特に悪役!マイケル・B・ジョーダン扮するエリック・キルモンガーはMCUきっての魅力的なヴィランなのは、誰もが認めるところ。
ここまで、感情移入させる、説得力を持ち合わせた悪役はなかなかいない。(翌月のインフィニティ・ウォーでサノスが続くからMCUの末恐ろしいところ。)
ディズニー映画見習ってくれ(ボソッ


スリー・ビルボード
今年ベスト級。きっと誰にとっても。みんなで今年ベスト映画選ぶなら、コレなんじゃない?という印象。
めちゃくちゃ面白かった!
浅学ながら、マーティン・マクドナーという劇作家を露ほども知らなかった。無知って怖い。もっとちゃんとチェックしないと。
脚本の圧倒的な力に唸る傑作でした。脚本だよねやっぱ。


犬猿
大好き!吉田恵輔最新作!相変わらず意地悪い映画。(オープニング爆笑した。こんな仕掛けみたことねぇ。)
ある兄弟、そして、ある姉妹が交錯する愛憎劇。
兄弟サイド、兄:ムショ帰りの粗暴なロクデナシ、弟:地道にコツコツ生きてる平凡くん
姉妹サイド、姉:賢くて、優等生なブス、妹:バカでテキトーで可愛い
もう設定が既に嫌らしい。けれど、人間の清濁を隠さない映画だから、誰もが笑えて泣ける一作。
個人的には、金無い兄貴が弟に、「おい、10万くらい貸しとけよ」みたいなとこ最高だった。「貸しとけよ」って笑。


リメンバー・ミー
ピクサー最新作!(これ書いてるとき『インクレディブル・ファミリー』公開されちゃったから一個前。)
メキシコの伝統「死者の日」をモチーフに、生者と死者が交錯する家族ドラマ。(とりあえず、『007 スペクター』の冒頭を思い出すよね。)まぁぶっちゃけ日本だとお盆ですね。
とりあえず、前半、この映画における重要なギミックの1つ、「死者は写真飾られてないと現世に遊びに来れない」が判明していた時点で、わりと既に泣きそうになってしまった。なんやねんこの設定。ディズニーめ、このやろうと。そんなの、誰しもウッとなるやんけ!
そして、もう一つのギミック「忘れられたら二回目の死を迎える」が立て続けに判明するわけだけど、これもまぁズルい設定。これはわりとありがちな台詞だったり設定だったりする。(ワンピの空島編とかでもあった。)
というわけで、人間誰しも、誰かに先立たれてるし、誰かを残して死んでしまうわけで、そんな普遍性を伴ったギミックに難なく泣かされてしまいました。
ただ、年間ベスト10に入るかと言われると、微妙なとこと。映像表現とか楽曲、設定とか文句なしなんだけど、やっぱり悪役の描き方が単調というか一面的すぎるよピクサー